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【食まち探究室】小さなアンケートから見えてきた、小浜の食のまちづくりを考える5つの問い

 アンドプレイス合同会社では、「食まち探究室」の取り組みの一環として、小浜の食のまちづくりについて考えるWebアンケート(回答期間:2026年6月19日~8月31日)を実施しました。今回寄せられた回答は11件です。数としては決して多くありませんし、この結果だけで小浜全体の傾向を語ることはできません。

 それでも、一つひとつの声を読んでいくと、小浜の食をめぐる豊かな実感や、これからのまちづくりにつながる大切なヒントがたくさん含まれていることに気づかされます。日々の食卓、子どもたちの学び、生産者へのまなざし、水や海の恵み、そして食を通じた健康で幸せな暮らし。小さなアンケートだからこそ、回答者それぞれの言葉から、具体的な風景が見えてきました。 この記事では、アンケート結果を数字で分析するというよりも、11件の声から見えてきた「小浜の食のまちづくりを考えるための問い」を整理してみたいと思います。

循環する5つの問い

アンケートの概要

 アンケートでは、小浜の食と自分自身との関わり、食のまちづくりで良い変化だと感じること、食をまちづくりの中心に据えるために大切だと思うこと、これから取り組んでみたいアイデアなどについて伺いました。

 回答してくださったのは、小浜市内に暮らす方、小浜市外に住む小浜出身の方、小浜の食に日常的に関わっている方などです。自由記述には、具体的な食材やお店、日々の買い物、家族との食卓、子どもの学び、生産現場への課題意識などが、かなり丁寧に書かれていました。

小浜の食の循環をめぐる5つの問い

問い1|水・土・海・山の恵みを、食のまちづくりの土台としてどう捉えるか

 まず見えてきたのは、小浜の食を支えている自然環境の豊かさです。今回の回答では、津島名水や雲城水、地下水、海底湧水など、小浜の「水」に関する言葉が複数見られました。魚や野菜の美味しさ、日々の調理、炊飯、さらには水耕栽培への見方にも、水の存在が深く関わっています。

 小浜の食を考えることは、海を考えることでもあり、山を考えることでもあり、水や土を考えることでもあります。食の魅力は、料理人の技術や商品の魅力だけで生まれるものではなく、それを育む自然環境に支えられています。一方で、テイクアウトごみのポイ捨てや、川から海へ流れるごみによる環境汚染を心配する声もありました。食を楽しむことと、食を支える環境を守ることは、本来切り離せないものです。

 食べる場や買う場を増やすことに加えて、水・土・海・山の恵みを守り、循環させ、次世代へ引き継いでいくこと。その視点を持つことで、小浜の食のまちづくりはより深く、持続的なものになっていくのではないでしょうか。

 では、その水や土、海や山の恵みを、実際に日々の食へとつなげているのは誰なのか。

問い2|食の魅力を支える生産者・一次産業をどう支えるか

 「食のまちづくり」というと、料理や飲食店、観光メニュー、小浜では食育に目が向けられることも多い気がします。けれども今回のアンケートでは、その手前にある生産現場へのまなざしも多く見られました。

 農家や漁師の高齢化、獣害による野菜づくりの難しさ、若い人が農水産業に挑戦し続けられる環境づくり、生産者や飲食業を大切にすること。こうした声からは、小浜の食の魅力が、食材をつくる人、獲る人、加工する人、届ける人によって支えられていることが伝わってきます。「生産者、飲食業、食に関わる人を大切にすること」という一文には、食のまちづくりを支える人たちへのまなざしが、端的に表れているように感じます。

 「食のまち」としての魅力を守り育てていくためには、できあがった料理や商品だけでなく、その背景にある生産・加工・流通・販売の仕組みにも目を向ける必要があります。食のまちづくりは、まちなかの賑わいや観光の話であると同時に、一次産業や地域産業の基盤をどう支えるかという課題でもあるのだと思います。

 そして、こうした食の営みを今の世代がどう知って、次の世代へどう伝え、まち全体の学びにつなげていくかも、大切なテーマです。

問い3|子どもから大人まで、食を学び直す機会をどう育てるか

 小浜の食のまちづくりを考えるうえで、食育はやはり欠かせないテーマです。回答の中でも、キッズキッチン、学校給食、魚の食べ方を学ぶ機会、子どもたちの探究学習、収穫から商品化・販売まで関わる体験などが、良い変化として受け止められていました。

 さらに今回の回答では、大人も小浜の食の豊かさを学び直す機会が必要ではないか、という視点も示されていました。「そろそろオトナキッチンも必要なのではないか」という声は、食育を子どもだけのものにしない、これからの小浜らしい広がりを感じさせます。

 地域の食材がどこから来るのか、誰がつくっているのか、どのように食卓に届くのかを知ることは、地域そのものを知ることにもつながります。小浜の食について、自分の言葉で話せる人が増えていくことは、それ自体がまちの力になります。子どもから大人まで、食を学び、つくり、味わい、誰かに伝える機会をどう育てていくか。これは、これからの食まち探究室にとっても大切な問いになりそうです。

問い4|食の豊かさを、市民生活の中でどう実感できるか

 こうした学びや体験が積み重なることで、食はより身近なものとして、日々の暮らしの中で実感されていきます。アンケートで印象的だったのは、小浜の食の魅力が、観光名物としてだけではなく、暮らしの中の具体的な経験として語られていたことです。焼き鯖、へしこ、魚の醤油干し、豆腐、トマト、きゅうり、葛饅頭、地元のお弁当、湧水。回答の中には、誰かに勧めたくなる食、帰省したときに買って帰る食、家族の食卓に欠かせない食、記憶に残っている食堂の味などが登場しました。

 たとえば、回答の中には「小浜の魚は美味しい!スーパーの魚と全然違う!」と県外の友人に喜ばれた、というエピソードもありました。こうした言葉からは、小浜の食が市外に住む人との関係の中でも、強い印象として残っていることが伝わってきます。

 あわせて、地元の人が家族で夜に行ける飲食店や、景色を見ながらゆっくり過ごせる食の場、忙しい家庭を支える手作りのお弁当やお惣菜への期待も寄せられていました。市民自身が日々の暮らしの中で「小浜の食って、やっぱり豊かだな」と感じられること。その実感をどう育て、共有していくかが、大切なテーマになりそうです。

問い5|食を通じて、健康で幸せな暮らしをどうつくるか

 最後に見えてきたのは、食のまちづくりを「健康」や「幸せな暮らし」と結びつけて考える視点です。

 食の安心・安全、添加物の少ない手作りのお弁当やお惣菜、健康を考えた料理教室、身体と心を整える食のあり方。こうした声からは、食のまちづくりが単なるブランドづくりや観光施策ではなく、市民一人ひとりの暮らしの質に関わるテーマであることが見えてきます。また、食の記憶や口コミ、誰かに勧めたくなる体験も、健康や幸せな暮らしとつながっています。美味しいものを食べること、誰かと分かち合うこと、地域の食を誇りに思うことは、まちへの愛着や人とのつながりを育てていきます。

 食のまちづくりは、名物を増やすことや観光客を呼ぶことだけではありません。食を通じて、健康で、安心できて、人と地域とのつながりを感じられる暮らしをどう育てていくか。その問いを、これからも深めていきたいと思います。

 そして、健康で幸せな暮らしを育てていくことが、水・土・海・山の恵みを大切にすることへとつながっていきます。

おわりに

 今回寄せられた11件の声から見えてきたのは、小浜の食が、水・土・海・山の恵みに育まれ、生産者や地域の営みに支えられ、学びを通じて受け継がれ、日々の暮らしの中で実感されていくものだということでした。そしてその先には、健康で、安心できて、人と地域とのつながりを感じられる暮らしがあります。

 食まち探究室では、小浜の食のまちづくりを、より多くの人と一緒に考えていきたいと思っています。アンケートに加えて、インタビューや対話も少しずつ重ねながら、食のまちづくりをめぐる多様な論点を見つけていきたいと考えています。

 大切にしたいのは、「食のまちづくりはこれをやればよい」という一つの正解を急いで出すことではありません。「これも食のまちづくりの一つの形だよね」と気づき合いながら、その広がりを共有していくことです。それぞれの立場から見えている食の風景を持ち寄りながら、小浜らしい食のまちづくりを一緒に考えていけたらと思います。

関連リンク:4人のインタビュー・対話から見えてきた「食のまちづくりの論点 ver.0.1」