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【食まち探究室】4人のインタビュー・対話から見えてきた「食のまちづくりの論点 ver.0.1」

 食まち探究室の活動を始めて、約1か月。活動の一環として、小浜の「食のまちづくり」について、さまざまな立場の人たちとの対話を重ねていきたいと考えています。今回はその最初の試みとして、カフェ店主、パティシエ、栄養教諭、農家という4組の方々に話を聞きました。(アンケートも引き続き、絶賛回答募集中です!可能な範囲で大丈夫ですので、ぜひ小浜の食に関わり・関心のある方はぜひぜひご回答ください~)

 まだ4人の対話から見えてきた仮説にすぎませんが、だからこそ現時点で一度、論点を粗く整理しておくことに意味があると感じています。今後、対話を重ねながら ver.0.1、ver.0.2、ver.0.3……と更新し、20〜30人ほどの話を聞いた段階で ver.1.0 として整理していければと考えている中での、最初のたたき台です。

ver.0.1として見えてきた5つのポイント

1. 小浜の食の強みは「資源」だけでなく、人との距離の近さにある

 4人の話に共通していたのは、小浜には海の幸だけでなく、野菜、果物、加工品、菓子、学校給食、直売など、多様な食の資源があるという実感でした。とくに印象的だったのは、食材そのものの豊かさに加えて、「生産者が身近にいる」「生産者と消費者の距離が近い」「お客さんとのつながりが生産者の力になる」といった、人と人との距離感に関する言葉です。

 つまり、小浜の食のまちづくりを考えるうえでは、「何があるか」だけでなく、「誰がつくっているのか」「誰に届けられているのか」「その間にどんな関係が生まれているのか」を丁寧に見ていく必要がありそうです。食の価値を「モノ」から「関係性」に広げることが重要になりそうです。

2. 食のまちづくりには、「関わりやすさ」と「わかりやすさ」、「楽しさ」が必要

 一方で、「食のまちづくり」が何を指すのかがわかりにくい、条例や御食国(みけつくに)といった言葉が少し遠く感じられる、という声もありました。歴史や文化を大切にしながらも、それを子どもや若い世代、市外から来た人にも伝わる言葉にしていくことが求められています。

 そのためには、食を学ぶ・知る・買う・味わう場を、もう少し楽しく、日常的で、参加しやすいものにしていくことが大切です。食文化館のような既存の拠点も、より気軽に使える「食のプラットホーム」として再編集できる可能性を探っていけると良さそうだと感じました。

3. 「個人のがんばり」から「みんなで続ける仕組み」へ

 学校給食、地場産給食、食育、生産者と飲食店のつながりなど、これまで小浜で積み重ねられてきた取り組みには、熱意ある個人の存在が大きく関わってきたことがうかがえます。その一方で、担い手不足、世代交代、教員や生産者の負担、天候・災害リスク、資材費高騰など、継続を難しくする課題も見えてきました。

 これからの論点は、良い取り組みを「誰かのがんばり」で終わらせず、協力者や応援者を増やしながら、「個人」から「みんな」で続ける仕組みにしていけるかどうかです。補助金や単発イベントだけでなく、直売、学校、飲食店、生産者、行政、市民活動が無理なくつながる継続的な仕組みが必要になりそうです。

4. 食は「教育」「健康」「心の豊かさ」「居場所づくり」とつながっている

 今回の対話では、食を産業や観光だけでなく、教育、健康、心の豊かさと結びつける視点が多く出てきました。知識と体験をセットで学ぶこと、食の探究を中学校でも深めていくこと、スポーツ食育と体育をつなげること、食べることを楽しいこととして感じること。こうした視点は、小浜の食のまちづくりを次の段階へ進めるうえで重要な軸になりそうです。

 また、カフェやパティシエの話からは、食が「少し立ち止まる時間」や「リラックスできる場所」と結びつく可能性も見えてきました。食のまちづくりは、栄養や文化を伝えるだけでなく、日々の暮らしの中で人がほっとできる時間や場所を増やす取り組みでもあるのかもしれません。

5. 歴史を大切にしながら、新しい感性や「B面」を受け入れる

 小浜には御食国の歴史や食文化の蓄積があります。しかし今回の対話では、その歴史をただ重く、正しく、格式高く伝えるだけではなく、もっとポップに、楽しく、本質を捉え直す必要性も語られました。

 外から来た人の視点、若い感性、洋菓子のような外来文化、地味だけど誠実な取り組み、個人店ごとの個性。こうした「A面」だけではない「B面」も、小浜の食のまちづくりを豊かにしていく要素です。歴史を守ることと、新しい文化や表現を受け入れることは、対立するものではなく、むしろ一緒に考えるべきテーマなのだと感じます。さらに、対話の中では出てきませんでしたが、A面・B面に加えて、「C面(カルチャー面)」のような表面・裏面だけでなく、側面もみるような切り口でも考えてみると面白いのではないかと感じました。

ver.0.1時点での問い

  • 小浜の食の強みを、食材や歴史だけでなく「人との距離」や「関係性」としてどう捉え直せるか。
  • 食のまちづくりを、もっとわかりやすく、関わりやすく、楽しく伝えるにはどうすればよいか。
  • 個人の熱意に支えられてきた取り組みを、みんなで続けられる仕組みに変えていくには何が必要か。
  • 食を、教育・健康・福祉・子育て・スポーツ・心の豊かさ・日常の居場所づくりとどう接続できるか。
  • 御食国の歴史を大切にしながら、新しい/若い感性や外からの視点、新しい食文化をどう育み、受け入れていくか。

これからの更新に向けて

 今回の整理は、あくまで4人との対話から見えてきた ver.0.1 です。ここに書いたことは結論ではなく、これからさらに多くの人と話すための仮説であり、問いの束です。

 今後、飲食店、農家、漁業者、加工・製造事業者、小売・流通事業者、伝統産業・ものづくり従事者、和菓子屋・洋菓子屋、教育関係者・観光関連事業者、子育て世代・若者、市民活動に関わる人など、さらに多様な立場の人たちと対話を重ねながら、論点を更新していきたいと考えています。並行して実施しているアンケートでも色々とご意見・ご助言もいただいています。ver.0.2、ver.0.3 と少しずつ重ねていくことで、小浜らしい食のまちづくりの輪郭が、より立体的に見えてくるはずです。

 食のまちづくりは、食材や料理だけの話ではなく、地域の暮らし、学び、仕事、健康、誇り、楽しさ、そして人と人との関係をどう育てていくかという話なのだと思います。まずはこの ver.0.1 を出発点に、対話を続けていきます。