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虫の目・人の目・鳥の目

and PLACE(アンドプレイス)代表の髙野哲矢です。前回の投稿では「プレイス」の捉え方について書きましたが、今回はまちの捉え方について。状況や目的に応じて色々な捉え方がありますが、こんな視点もあるよね。くらいに思ってもらえれば。

いろいろな「目」

 前職の都市計画事務所でも「虫の目・鳥の目」でまちを捉えること、考えていくことを鍛えられました。細部を見る視点と俯瞰してみる視点、それを行き来するマインドが大切だが、これが意外と難しい。ビジネスの世界ではさらに「魚の目」(流れを読む)とか「コウモリの目」(逆の立場で捉える、発想の転換をする)なんてのもあるらしいですね。

 まちを少し丁寧に見ようとしたときに参考になるのが、プレイスメイキングのアプローチをけん引するProject for public spaces(以下、PPS)も用いている「The Power of 10+」という捉え方。虫と鳥の間で、人にも登場してもらいましょう。より身体感覚に近い範囲を意識的に捉えることも大切ですよね。

  • 豊かなまちには、10以上の目的地となり得る場所があるはず!(鳥の目)
  • その目的地にはそれぞれ10以上の魅力的な場所があるはず!(人の目)
  • その場所にはそれぞれ、10以上の活動や行動が展開されているはず!(虫の目)

という考え方。それぞれの場所で展開されている活動や行動(上図最下段:Place)を見るのが「人の目」レベルともとれるし、どこを基軸にして対象を広げるか、細かく見るかは目的次第ですが、これを構造的に整理すると、どこを頑張るかも考えやすいと思う。

(これを最初に知った時、イームズさんのPowers of Tenを思い出した。学生の時から好きな映像作品の一つで、当時かなり感動してた)

10の場所と活動

 ちょっとだけ具体例を出してみる。あるまちの中心市街地で、特徴的な地区(通りも含む)を10選び、その各地区の活用案を検討する中で、実際に活用する機会を得ることができた場所で10以上の活動を生み出すよう仕掛けた。同時多発的に活動が生み出されている状況を地元の方にも体感して頂くことができ、準備から当日の運営も含めて普段まちなかで交わらない人同士の接点を生み出すことにもつながった。

 それを体感している人にも外から見ている人にも、一つの場所で10以上の活動が生み出されている景色の影響は大きい。もちろん単一の(もしくは限られた)目的で活用することも賑わいを生み出す方法の一つだが、日常的にその場に親しんでもらう素地を育てるにはそれだけではなかなか人は集まらないし、寄り付かない。場所のイメージをどうやって育んでいくかも丁寧に積み重ねていくことが大切ですね(という話の続きはまた別の機会に)。

 実は、ここら辺(具体例の詳しい話)は何度も紹介している『プレイスメイキング』の本に、とってもわかりやすく書いてあります。あとは(ご存知の方も多いと思いますが)プレイスメイキングを始め、公共空間活用やエリアマネジメントなどの実践や研究、普及啓発などに積極に取り組んでいるソトノバさんの記事も丁寧に書かれていてとても参考になります。

 さて、弊社が拠点にしている小浜市や嶺南あたり、福井県内で検討する機会があればと思いますが、まずは自主的に妄想から始めておこうかと思っています!