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都市像と都市計画を探る

先日、6/27(土)に理事を務めさせていただいている(認定NPO)都市計画家協会のセミナー(オンライン)に登壇しました。DMOにも所属している立場で、観光まちづくりの視点から話題提供したので、ご報告させて頂きます。


 今後、同一テーマで議論を続けていくセミナーの第一弾として、NPO総会後に『with&after コロナ時代の都市像と都市計画を探る』というタイトルで開催されました。聴講者数は200名弱?とのことでしたが、登壇者は、平松 宏城さん(株式会社ヴォンエルフ 代表取締役)、山本一馬さん(街角企画株式会社 代表取締役/JSURP理事)、鈴木俊治先生(芝浦工業大学 教授/ハーツ環境デザイン主宰/JSURP理事)、主旨説明は小泉秀樹先生(東京大学まちづくり研究室 教授/JSURP副会長)と私以外は豪華な顔ぶれ。

 プレゼンでは、都市像や都市計画を探るためにということで、私なりに思う観光まちづくりからの学びと課題をお伝えしました。

幅広い観光関連産業の連携に学ぶ

 中心市街地の活性化やエリアマネジメントなどを思い浮かべると、対象となる範囲(区域)に対して取り組む組織があり、区域はいくつかの特徴的な地区や通り、エリア・場所にゾーニングをされて、その分類に対して計画・事業が定められることが多い。

 一方、観光地域づくりにおいては、その担い手となるDMOは対象範囲によって地域DMO・地域連携DMO・広域連携DMOと区分され、対象区域が一部重複することもあり、お互いの強みを活かしながら(弱みを補いながら?)の連携が望まれる。地域で観光を推進するためには様々な方の協力や連携があることで、地域の受入れ態勢や訪問者への対応にも厚みが増していく。

 また、観光地での体験としては、観光スポットを訪れて眺め等を楽しむ「モノ」消費だけでなく、いわゆる「コト」消費となる、地域の歴史や文化を実際に体験できる重要性はかなり高まっている。さらに観光による経済活性のためには、各種体験が連動していたり、複数体験を組み合わせたツアーなど、単発の「コト」消費に留まらず、主目的となる観光地内外での「トキ」を価値あるものにして地域にお金を落としてもらえるのが望ましい。最終的には、旅先で出会う「ヒト」との豊かな時間も過ごしてもらえるのが大切だと感じている。

モノ・コト・トキ・ヒト

 「観光」することがこれまで以上に貴重な機会となり、そうしたときに1回限りの素敵な体験で済まさず、わが町に関わってもらいたい。また来てもらいたい。せっかくなら単に来るだけでなく、「あの人」に会いたい、話したい。そう思ってもらえる人が増えていくことが観光地にとって大きな魅力になる。まちづくりも観光地づくりも、「人づくり」というか、様々な背景・特性を持った人の顕在化・主役化や、「人ベース」の取組の蓄積をどれだけ丁寧にできるかが大切だと信じている。モノやコトを消費してもらう以上に、トキやヒトに投資してもらうことが重要である。

観光はパラダイムシフトできるのか

 最近、「マイクロツーリズム(小さな旅行)」として、地元の人が地元の魅力を発見していくこと、地元の人たちの力で地域経済を少しでも助けようという動きが各地で進められていて、地域内でお互いに助け合うことはとっても素敵だと思うが、(杞憂であれば良いが)これが一過性のものになってほしくない。移動の制限が緩めば、国内の有名観光地やインバウンドで人気の観光地、国外の各国観光地に行く人も増えて、特に近場の国内旅行の割合はぐっと減るのは仕方がないが、マイクロツーリズムが今の時期の単なるターゲット転換とならないことを願っている。

 マイクロツーリズムが丁寧に積み重ねられるということは、(そんなこと言っていられないほど切迫した状況の人、多忙を極める人もいると思うが)自分たちの地域・地元に改めて目を向ける機会が得られるということであり、暮らしを見つめなおす機会にもなるのではないか。

 見つめなおした先に、ライフスタイルが少し変わるかもしれない。何か新しいことを始めたり、何かをやめたりするかもしれない。まちに必要な場所や活動、機能が見え始めるかもしれない。自治の形が変わるかもしれない。これまで以上に様々な業種でつながり、色々な挑戦をしていくことが大切になるかもしれない。そういった「まちの動き」がヨソモノにもできる限り伝わると、何かがフックになって新たな繋がりが生まれるかもしれない・・・。

 移動すること、視ること、触れること、感じること、聴くこと、味わうこと、嗅ぐこと、休むことが観光だとしたら、遠くに行かなくても観光はできる。最後のスライド(上図)で、身近な「デスティネーション」に「プレイス」を生み出せるのか。

・・・といったようなことを、タイマー見ながら巻き気味で、(割と)早口で話してしまいました(上記はだいぶ端折ってます、すみません)。フロアからの意見もたくさんあり、鋭い質問や重要な論点も提示され、今後のセミナーも非常に楽しみ。自分の中でも引き続きこのテーマを胸に秘めておければと思います。